TP-Linkのルーター、国家安全保障上の脅威?米政府が調査、販売禁止の可能性も
#生活 #セキュリティ,ルーター 2024.12.19

米国政府が中国のネットワーク機器メーカーTP-Link製ルーターの販売禁止を検討していることが明らかになった。調査の焦点は、同製品がセキュリティ上のリスクを抱え、国家安全保障に対する脅威となり得るか否かにある。TP-Linkは、中国深圳に本拠を置く企業であり、米国の家庭および中小企業向けルーター市場で約65%のシェアを持つ主要プレイヤーだ。さらに、同社製品は国防総省やNASA、さらには複数の政府機関でも使用されており、これが懸念を一層深める要因となっている。この問題の発端となったのは、Microsoftによる2024年11月の警告である。同社は、中国政府の支援を受けたハッカー集団がTP-Link製ルーターを含む複数の機器を悪用し、大規模なサイバー攻撃を実行していると指摘した。特に、ボットネットの構築を通じてクラウドサービスや政府関連機関への不正アクセスが試みられたことが報告されている。また、中国のAPTグループ「Volt Typhoon」がTP-Linkルーターを踏み台にして米軍施設への攻撃を行った事例も確認されている。これを受け、米商務省、国防総省、司法省がそれぞれ個別にTP-Linkに対する調査を開始した。特に注目されるのは、TP-Link製品が出荷時から脆弱性を抱えていた可能性と、製造コストを下回る価格での販売が市場支配を目的とした戦略であるとする疑念だ。これらの点について、米政府はセキュリティ上の懸念だけでなく、独占禁止法の観点からも問題視している。