渥美清の名演が染みる「日曜劇場」の歴史に輝く名作ドラマ「放蕩一代息子」
#芸能 #俳優 #コラム 2025.2.28

1956年にスタートしたTBSの「日曜劇場」は、60年以上経過した現在でも続くテレビ界最長の放送枠と言える。現在は連続ドラマを放送しているが、当初は1話完結の単発ドラマであり、第1回は歌舞伎の十七代目市村羽左衛門が主演した「舞踊劇 戻橋」であった。1963年には、実在する恋人同士の書簡を綴りベストセラーとなった「愛と死をみつめて」を橋田壽賀子脚本で大空真弓と山本学でドラマ化。日本中に感動の嵐を巻き起こした。 吉永小百合や倍賞千恵子というトップ女優を配した「24才シリーズ」など、画期的なシリーズ作品も話題を呼んだが、「男はつらいよ」の黄金コンビである山田洋次が監督し、渥美清が主演した作品は、どれも完成度が高くドラマ界に大きな足跡を残した。 そんな時代に山田洋次が原作と脚本を担当し、宮武昭夫が演出を担当した1973年放送の「放蕩一代息子」は、日本橋を舞台に大店の若旦那をコミカルに描くなかで幸福な生き方とは何かを問いかけた格調高き名作である。両替屋の一人息子・徳三郎(渥美清)は札つきの放蕩児。父親の清兵衛(志村喬)は、心を鬼にしてついに息子を勘当した。知り合いの棟梁の家に居候しながら奉公に出るが、どれも長続きしない。そのうちに徳三郎の行方はわからなくなり、気落ちした清兵衛は病に伏してしまう。ある日、妹のせつ(倍賞千恵子)は、乞食仲間と楽しそうに暮らしている徳三郎を見つける。せつは家に呼び戻そうとするのだが...。