吉高由里子が静かに演じた戦慄の殺人鬼!松山ケンイチ、松坂桃李共演の「ユリゴコロ」
#芸能 #俳優 #コラム 2025.9.30

吉高由里子が主演を務め、初めて殺人鬼の役を演じたのが恋愛ミステリー「ユリゴコロ」だ。原作は2012年に大藪春彦賞受賞、本屋大賞ノミネートとなった沼田まほかるによる同名ベストセラー小説。メガホンを取ったのは「君に届け」など数々の作品を手がけ、最近では坂口健太郎主演の「盤上の向日葵」が釜山国際映画祭で世界初上映された熊澤尚人。松山ケンイチ、松坂桃李が共演した。当時の吉高というと、ドラマ「東京タラレバ娘」などのアクティブでチャーミングな役のイメージが定着していたこともあって、ここまでダークなヒロインは挑戦とも言える役柄だった。 タイトルの"ユリゴコロ"とは、作品の中では心の拠り所を意味するワード。物語は1冊のノートに記された美紗子(吉高)の半生を軸に、過去パートと現在パートがクロスするように綴られていく。そんな中、メインキャストの演技は本作の大きな見どころと言っていいだろう。少女時代から人の"死"を味わうことにしか拠り所を感じることができないヒロイン美紗子を演じる吉高はもちろん、松山も松坂も罪や傷を抱える人間の複雑な心理描写が求められる役を見事に演じきっている。ミステリーとして見応えがあり、前半と後半で描かれる美紗子の心理の対比が、人間について、そして愛について、多くのことを考えさせられる。