松田優作が彼らしさを見せつつ、児童映画に出演した貴重な作品「ともだち」
#芸能 #俳優 #コラム 2025.8.23

この世を去って35年以上が過ぎた今も、語り継がれ、役者にもリスペクトされ続けている伝説の俳優・松田優作。 松田は1973年に石原裕次郎主演のドラマ「太陽にほえろ!」のジーパン刑事こと柴田純役で人気がブレイク、撃たれた時に自身の血を見て「なんじゃ、こりゃあ」と叫んで殉職するシーンは、歴代刑事の中でもあまりに衝撃的だった。その後、アクションスターとして確固たるポジションを獲得し、1979年から1980年にかけてはドラマ「探偵物語」で不器用な探偵をコミカルに演じ、黒や白のスーツに赤のシャツを組み合わせ、ハットを被ってベスパを乗り回すスタイルがファンにコスプレされるほど人気となった。 ハリウッド進出作にして遺作となったリドリー・スコット監督の「ブラック・レイン」では後に松田が病を隠して撮影に臨んだことを知ったが、その生きざま自体がらしいと思ったのを記憶している。それほど松田優作という存在は強烈で、規格外の個性と熱量を放っていた。 そんな松田がジーパン刑事を思わせる雰囲気で脇役として出演しているのが日活の児童映画第2作目となる「ともだち」(1974年)だ。松田が演じているのは主人公の小学生、新太(阿部仁志)の家が営む仕出し弁当屋で働いている青年、小松。サッカー選手を目指す悪ガキ、新太の変化に気づき、背中を押す役どころだ。地井武男、牟田悌三、原田美枝子などが出演する本作でも松田はやはり異彩を放っている。