名人戦を見事防衛した藤井聡太の5月の対局を振り返る!
#芸能 #文化人・その他 #コラム 2025.6.11

名人戦は千日手2局を含む白熱したシリーズだったが、終わってみれば4勝1敗で防衛と終盤力の高さを見せた。だが、7月から始まる王位戦でも永瀬拓矢九段が挑戦者で、まだまだ戦いは続く。
※対局予定棋士の名前の後の()内は藤井から見た過去の対戦成績。 5月9、10日に第83期名人戦七番勝負第3局で永瀬拓矢九段と対戦。序盤の駆け引きから、組み合う矢倉戦に落ち着く。中央を押さえてじわじわとリードを広げていくと、押しつぶす攻めで優勢を築く。その後も正確な指し手を重ね、最後は形を作る余裕も与えずに大差での勝利となった。これで七番勝負を3連勝とする。 5月17、18日に名人戦第4局で永瀬九段と対戦。永瀬の誘導で変則的な角換わり腰掛け銀へ。戦いが始まった直後に千日手となり、永瀬の先手番で二日目朝から指し直すことになる。持ち時間が3時間ほど少ない点は不利だ。 指し直し局は角換わりから、相早繰り銀の研究勝負になる。持ち時間の差をものともせず、藤井がじわじわとリードを奪い、はっきりと優位に立つ。だが、終盤で危険な決め方を選び、形勢は混沌。最後は一分将棋の中で二転三転の競り合いを敗れ、珍しい逆転負けとなった。永瀬がシリーズ初勝利をあげて第5局へ。 5月29、30日に名人戦第5局で永瀬九段と対戦。角換わりから、後手の藤井は右玉へ。仕掛けの間合いを図る展開となるが、2日目の午前中に千日手となる。第4局に続く指し直しに。 指し直しは藤井の先手で、先後を入れ替えて角換わりから右玉を迎え撃つ形へ。またも千日手模様になるが、夕方の休憩明けに動きを誘ったのが裏目に出て苦戦に陥る。盤面を制圧されてはっきりと永瀬が優勢になるが、勝負術を発揮して混戦に持ち込む。最後は秒読みの競り合いから抜け出し、逆転勝ちを収めた。これで七番勝負を4勝1敗とし、名人3連覇を達成した。