池松壮亮と菅田将暉が緻密に作り出した独特の世界観!絶妙なテンポの会話劇に引き込まれる映画「セトウツミ」
#芸能 #俳優 #コラム 2025.5.28

池松壮亮と菅田将暉のダブル主演で、此元和津也の人気漫画を実写化したのが、映画「セトウツミ」だ。 高校2年生の内海(池松)と瀬戸(菅田)は、放課後にいつも河原でダラダラと話をしながら一緒に過ごしている。クールで頭の良い内海と、元サッカー部でお調子者の瀬戸。性格は対照的な2人だが、他愛のない話をしたり、好きな女の子に送るメールの文章で悩んだり、そして時には本音や悩みを語り合ったりと、話は尽きない。そんな2人の日常に、同級生の一期(中条あやみ)やヤンキーの先輩・鳴山(成田瑛基)、謎のバルーンアーティスト(宇野祥平)たちが、ちょっとした波風を立てていく。そんな日常の些細なやり取りを通して、内海と瀬戸は独特の友情を育んでいく...。 放課後の河原の階段で内海と瀬戸が話しているシーンを中心に構成された本作。派手な事件などは起こらず、高校生2人の日常をそのまま切り取ったかのような作品の中で、内海と瀬戸が繰り広げるシニカルかつユーモラスな会話劇が見どころだ。頭は良いが根暗で捻くれている内海と、お調子者でおしゃべりな瀬戸が交わすテンポの良い関西弁の掛け合いはくすくすと笑えるものばかり。特に瀬戸の話に的確に打ち返される内海のツッコミなどは、まさに"痒い所に手が届く"という感じで、他愛ない会話にも関わらず実に痛快だ。そして、そんな自然な会話の中から、内海と瀬戸、そして周囲の人間との関係性が垣間見えてくる過程も面白い。何気ない日常でありながら、その中で描かれている高校生ならではの青春や悩み、人間関係の機微には共感させられることもあり、映画の世界に引き込まれていく。