寺尾聰がからっぽの父を熱演!正義を考えさせられる映画「さまよう刃」
#芸能 #俳優 #コラム 2025.5.14

肉親を殺された恨みを晴らすべきか。復讐は是か否か。永遠のテーマであるが、2009年公開の映画「さまよう刃」を見ると「正義ってなんなのだろう」と考えさせられる。 東野圭吾の同名小説が原作となっているこの作品。妻に先立たれ、一人娘の成長だけを楽しみに生きていた長峰(寺尾聰)は、ある日突然、残虐な少年犯罪により娘を失うことに。犯人の正体を謎の人物から突如として知らされた長峰が復讐へと動き出すという物語だ。 主人公が復讐を決意するというストーリーは映画では数多く見られてきた、いわば王道のジャンルとも言えるが、「さまよう刃」はその中でも過程が相当に残酷だ。娘は薬物を打たれたうえに凌辱され、死体となって発見される。しかも、その犯行映像を父親である長峰がビデオテープで見るシーンもあり、長峰同様に衝撃を受けることは間違いない。 加えて犯人グループは未成年であるため、少年法にも守られている。非道の限りを尽くしたとしても、到底罪に見合った罰は与えられない。それを理解している長峰が少年たちへ復讐を果たしていくのは至極当然にすら思え、応援に近いような感情さえ抱いてしまう。